アルゼンチンの「キッズバイク」は子ども以上にパパを夢中にさせる
バランス感覚を養うことで、補助輪なしでもすぐに自転車に乗れてしまうとあって(わが家も一発OK)、いまや子どもたちの三種の神器のひとつとも呼べるのが、ストライダーに代表される「キッズバイク」だ。
週末の公園に行けば、BMX調のカラフルなペダルなしバイクがスイスイと横をすり抜けていく。スチール感のあるシンプルで軽いタイプが本質的にはいちばん良いはずだが、どの子もみんな同じに見えて、いまいちオリジナリティが感じられない。
遅かれ早かれ、いつかは自転車に乗れるようになるんだし、ならば少しでも人と違ったものを選びたい。そんなこだわりパパ、あるは生粋のライダーにしか響かなくてもいい。このキッズバイクは、間違いなく親が欲しくなるそれだ。
子どもよりパパが夢中になる
ディテール
南米チリのサンチアゴにあるクラフトメーカー「Jokos」のキッズバイクが欲しくてたまらない。バイク乗りでもない自分をそれでもアツくさせるのは、リアリティにこだわり再現されたキッチュなこのフォルムだ。なんかもう、これでスイスイ進まなくても、またいでくれるだけで満足してしまいそう。
タンクもマフラーも「いや、いらんでしょ!」なんて突っ込みたくなるかもしれないが、ここまでちゃんと再現してくれていること自体に感謝したくなる。しかも、このワイドハンドルとくれば、尚更だ。もう一度ことわっておくが、バランス感覚を養うためのこれはキッズバイクであって、バイク(自動二輪車)をすんなり運転するためではない。
組み立て式の木製パーツは
カスタムもリペアも自由自在
さて、子ども以上にパパがアツくなってしまう理由がここにもある。タイヤを除くボディパーツは木製の組み立て式で、その一つひとつを職人がていねいに削り出したハンドクラフト。もちろん組み立てる楽しみはパパのもの。
腰掛けるシートにはちょっとしたこだわりがあるようで、長時間座っていても、多少バンピーな場所でライドしても痛くならないよう、子どものお尻にあったなめらかな曲線に研磨して仕上げているそう。
これはグッとくるでしょ?アルゼンチンの子どもたちは、こんな感じでキッズバイクを楽しんでいるんだろうな。車体重量は3.8キロ。あのストライダーが2.9キロというから、そこまで重いわけではなさそうだ。当然、成長に合わせてサドルも5段階に上げられるから、一台のバイクとの出会いのように、リペアしながら長く愛することだってできる。
どうせならばシェルタイプのヘルメットよりも、こういう方が雰囲気もでる。ということでスエード地のヘッドギアがデフォルトで付属されているっていうのもいいじゃない。
乗らないときでも
オブジェのように美しい
ところで、このキッズバイク「Jokos N°1」がモデルにしているのは、1920年代から40年代にかけて生産されたバイクたち。たとえばそれはインディアンであり、BMWであり、トライアンフ、ノートン、ハーレー・ダビッドソンといった、今でも熱狂的なファンが多いトップメーカーの二輪車からインスピレーションを得たオリジナルだそう。オールドスクールな当時のバイクのかっこよさから抜け出せない生粋のバイク乗りでなくても、このフォルムにやられるパパは間違いなくいるはずだ。
大げさに言えば、スピードだけでなく、自由な生き方や冒険心をかき立てるロマンチシズムさえ湧いてくる、往年の名車たちにインスパイアされたこの遊び道具は、じつのところ、子どものためではなくパパたちのためのものだったりして(笑)。