兵士たちは、そっと銃を置いた──。第一次大戦中の「クリスマス休戦」とは?【奇跡の一夜】

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

「クリスマス休戦」が起きた日

ドイツやイギリスなどによる列強国の対立、民族や信仰の違いによる軋轢、オーストリア皇太子夫妻の暗殺(サラエボ事件)など、いくつかの理由が複雑に絡み合い、1914年7月に勃発した「第一次世界大戦」。

記録に残されているだけで、イギリス、ロシア、フランスを中心に結成された連合国軍が約480万人、ドイツ、オーストリア、そして現・トルコ(オスマン帝国)による同盟国軍が約330万人の計800万人以上の死者を出したとされる、苛烈極まる戦争の最前線で、ひととき、銃声が止んだ瞬間があります。

スイスからイギリス海峡にまで伸びる西部戦線の各所に、安らかで平和な時間が流れたのは、1914年の12月24日、そして翌25日。

そう、クリスマスです。

今日は、現在も奇跡として語り継がれる「クリスマス休戦」が起こった日です。

敵対するドイツ軍とイギリス軍の間で起きた“奇跡”は、互いを攻撃しないという文字通りの休戦だけではありませんでした。

銃弾や砲撃から身を守るための塹壕(ざんごう)には飾り付けがなされ、お互いが自国の賛美歌を歌い、それぞれの兵士たちが丸腰で敵陣に歩み寄り、「Happy Christmas」という祝いの言葉とともにプレゼントを渡し合ったのです。

さらには、両軍が入り混じり、サッカーの試合をおこなったなどの記録も残されているようです。

以下は「クリスマス休戦」の100年後にあたる2014年に、信仰の価値を世界に広める国際組織「Faith Counts」が公開した動画です。

© Faith Counts/YouTube

今、この瞬間も、国家間、民族間、信仰の相違、利害の対立などにより、世界中で武力を用いた争いが繰り返されています。

いつかきっと訪れるはずの、戦争のない世界へ。

Merry Christmas──。

Top image: © iStock.com/splendens
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。