失敗談もエンタメに昇華。TikTokトレンド「Hopeless Core(ホープレス・コア)」

「どうせうまくいかない」そんなネガティブな言葉が、今の若者の心を掴んでいる。

TikTokで拡散する「Hopeless Core(ホープレスコア)」は、絶望や自虐すらもエンタメに変えてしまう、新時代のムーブメントだ。その勢いはTikTokを超え、インターネット全体に広がりつつある……。

失敗談はコンテンツに昇華
「Hopeless Core(ホープレスコア)」

始まりは今年11月、とあるアカウントがTikTokに投稿した動画だった。交通事故が起きた直後の口論を編集しただけのシンプルな動画は、7万4000回以上再生され、瞬く間に拡散。

そのアカウントで次々と投稿されていく「ホープコア」な瞬間をまとめた動画は、どれも高再生回数と大量のコメントを獲得。かくして、新たなトレンドとして確固たる地位を築きつつあるのだ。

© TikTok / hopelesscore1

そもそも「Hopeless Core」という言葉の意味は?米メディア「ComingSoon.net」によると……

"絶望的な状況やネガティブな感情を、あえて面白おかしく編集した動画"

事故現場の動画に暗いBGMを流したり、失敗談を自虐的なナレーション付きで再生したり。 一見、不幸を面白がっているだけにも見えるが、そこには、従来の「ポジティブ」や「ネガティブ」といった二元論を超えた、Z世代ならではの感性が光る。

「諦観」や「開き直り」を表現する手段

では、なぜホープレスコアがこれほどまでに支持を集めているのか。

その背景には競争社会やSNS疲れ、将来への不安など現代社会が抱えるさまざまな問題が影響していると考えられる。「頑張っても報われない」「理想と現実のギャップに苦しむ」そんな閉塞感を抱えるZ世代にとって、ホープレスコアは、ある種の「諦観」や「開き直り」を表現する手段なのかもしれない。

さらに、ホープレスコアで多用されるFlawed Mangoesの楽曲『Dramamine』の存在も大きい。メランコリックな曲調と、どこか諦観を漂わせる歌詞が、ホープレスコアの世界観をより一層際立たせている。

「Hopecore」とは真逆を映し出す
Z世代のリアル

「Hopeless Core」は、従来のポジティブ志向のトレンド「Hopecore」とは対照的な存在だ。 希望に満ちた美しい世界観が特徴の「Hopecore」。 いっぽうの「Hopeless Core」は、ネガティブな側面をあえて強調することで、逆説的に笑いを生み出している。

これは、現代社会における閉塞感将来への不安を反映しているとも考えられる。 そして同時に、「絶望」を共有・共感することで、連帯感を生み出している側面も見逃せない。

ホープレスコアの流行は、単なる一過性のブームとして片付けることはできない。そこには、現代社会が抱える闇や、Z世代のリアルな感情が映し出されている。

「絶望」を共有することで共感を得る。ネガティブな感情すらもコンテンツに変える。ホープレスコアは、これからの時代のコミュニケーション、そしてコンテンツのあり方について、私たちに多くの問いを投げかけているのではないだろうか。

最後に、そんな同TikTokアカウントによる、Z世代筆者イチオシの「ホープレスコア」動画をシェアして、締めくくらせていただきます。

© TikTok / hopelesscore1
Top image: © iStock.com / Filippo Arteconi
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