スパイス・ガールズ『Wannabe』のリメイクMVが20年ぶりに制作された理由とは?

“ガールパワー”をキャッチフレーズに1996年デビューした、イギリス出身の女性グループ「スパイス・ガールズ」。そのデビュー曲『Wannabe』は、世界31カ国でチャート1位を記録する大ヒットとなり、音楽界を席巻した。

その彼らの代表曲を「The Global Goals」がリメイクし、公開以降大きな反響を呼んでいる。すでに動画(MV)を目にした人も多いことだろう。リリースから今年でちょうど20年。ガールパワーはかたちを変えて、世界の女性たちを鼓舞する強力なメッセージを放っている。

20年ぶりのリメイク
今を生きる女性たちが
「本当に、本当に欲しいもの」

市民社会と国連との連携による「The Global Goals」が実施するキャンペーンの一環として制作されたこのMV。2015年9月の国連サミットで採択された、環境保全や格差是正を図りながら2030年までに世界から貧困をなくし、持続可能な世界を実現するための取り組み(持続可能な開発目標)の認知がその主な目的だ。

今回のリメイク版には、南アフリカ、ナイジェリア、スリランカ、カナダ、アメリカから5名の女性アーティストが出演。元祖5人組に負けないパワフルなダンスを披露している。ちなみに歌はスパイス・ガールズのオリジナル。

ではなぜ過去のヒット曲が、2016年の今この時代に用いられたのだろうか?あまりにも有名な『Wannabe』冒頭の歌詞を紐解いていくと、その意味することが見えてくる。

Yo, I'll tell you what I want, what I really , really want
So tell me what you want, what you really , really want......

私がしたいことを教えてあげる。私が本当に、本当に望むこと
だから、あなたのしたいことを言ってみてよ。あなたが本当に、本当に望むこと……

【女性に対する暴力の根絶】

【質の高い教育

【児童婚や強制婚の撲滅】

【男女同一賃金】

曲中に登場する「本当に、本当に欲しいもの」。20年前、それは「zigazig-ha(欲しいものは×××)」、と快楽を求めるものであったり、どこか濁すような表現にとどめられていた部分が、今回のリメイクにおいては、より強い女性の意志を表すメッセージに。

女性への暴力の根絶、質の高い教育、児童婚の撲滅、そして賃金格差是正。今、この時代に声を張り上げて訴えたい「本当に、本当に欲しいもの」、女性の置かれている立場、ジェンダー問題を『Wannabe』の歌詞に当て込むことに真の狙いがあったようだ。

すべての女性を勇気づける
ガールパワーの象徴、
それが『Wannabe』

MVを制作した映像ディレクターMJ Delaney氏はこう表現した。

「スパイス・ガールズは、個性の異なる5人の女の子たちがチームを組んだことで強い結束力が生まれ、あれだけのメガヒットを生み出した。このリメイク版においても、着目したのは“違い”です。そこから世界中の女性たちが、本当に望んでいるものを伝えようと思いました」

これを受けて、元メンバーのひとりヴィクトリア・ベッカムはFacebookを通じ、20年の時を経て「Girl Power(ガールパワー)」が、新しい世代の女性たちを鼓舞する一役を買っていることを光栄に思う。とコメントとともに動画をシェア。同じく、メラニー・C(メラニー・チムズ)も「私たちの曲がこんなステキな使われ方をするなんて名誉なこと」、とTwitterに感想をつぶやいている。

他にもエマ・ワトソンはじめ、多くの著名人がハッシュタグ「#WhatIReallyReallyWant」を共有することで、世界中の人々の中に国連から発信する今の時代のWannabeが届き始めているようだ。

シェアは始まりにすぎない。
女性たちの声は、今年9月
国連総会の会場へ

「私たちは、国連の場において世界の指導者たちにこの声を届けなければいけません。2016年秋、力を合わせて「すべての女性たちが何を本当に、本当に欲しているのか」を彼らに伝えるチャンスです。もし、みんなが声をあげてくれれば、私たちがそれを国連会議で代弁します」

The Global Goalsは、このMVを公開するにあたって、このようにメッセージを強く打ち出した。動画のシェアはゴールではなく、あくまでスタートライン。女性に対する性差別、男女平等、格差是正を環境保護と同じ視点に立って議論しあうことが、ひいては世界から貧困をなくし、環境を改善していく足がかりになる。と彼らは信じているからだ。

「持続可能な開発目標」をひとつひとつクリアしていくために残された時間は、あと15年。でも、もうひとつの『Wannabe』が多くの人の耳目に触れていることは間違いない。

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