お祭り気分ばかりが「宝くじのCM」ではない。たとえばスペイン編

11月も中頃になると、高額当選をうたい文句にした「年末ジャンボ宝くじ」の広告が流れてくる。それも毎年、過剰なまでに賑やかなものが。一年最後のビッグイベントだということは百も承知、だけど…。

ハイテンションの押し売りばかりで辟易(へきえき)しているみなさんへ。同じ「宝くじ」を題材にしたものでも、スペインで制作されたこの動画なら、見終わった後に充足感が訪れるに違いない。

喜びを分かち合うことが
何よりのしあわせ。

 もしも、宝くじで一等賞に当選したら…。

誰だって一度くらい、こんな妄想に取り憑かれ、夢物語を熱く語ったことがあるはずだ。見たこともないような大金を手にする権利を得たとき、それが自分だったなら、誰どどのように喜びを分かち合うだろう。

至福の瞬間が訪れた(実際には…)とき、このおばあちゃんのとった行動に注目しながら見て欲しい。

すべては、
大きな勘違いから始まった

小さな田舎町を舞台にしたこの物語。学校の先生を辞め、隠居生活を送るCarminaおばあちゃんが、宝くじで400万ユーロ(約4億6,000万円)に当たったと勘違いするところから、すべてが始まる。

彼女のあまりの喜びように、本当のことが言えなくなってしまった家族。しばらくの間、彼女の勘違いに付き合うことに。これが、町中の人たちを巻き込んだ、大じかけのお祝いパーティーへと発展していく。

Carminaおばあちゃんの無茶ぶりに奔走する家族。けれど、住民たちは誰ひとりNOと言わずに家族に協力する。なぜなら町のほとんどの人が、彼女の教え子だったから。

いよいよ最後の場面になって、息子が本当のことを伝えようとする。

「じつは、言わなくちゃいけないことがあるんだ」。

すると、息子の言葉をさえぎるようにCarminaおばあちゃん。

「あんたの言わんとすることは分かる。でもね、私はこの当たりくじを黙ってあんたが受け取ってくれたら。それが一番のしあわせなの」。

 

喜びをみんなと分かちあおうとするCarminaおばあちゃんの姿勢が、結果として彼女の勘違いに巻き込まれた、すべての住民たちをしあわせにすることができた、というのがオチ。

高額当選のチャンス!と期待感をアゲに上げるのも、たしかに戦略のうち。でも、こちらはその期待感を「もしも本当に当選したならば…」、で見せてくれた。

単純に良し悪しではなく、手法のひとつとして、こんな年の瀬も悪くないでしょ。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。