集められた「正反対の思想」。ハイネケンの新CMに込められたメッセージとは?

ビールのCMというと、芸能人がグビッと飲んで「うまい!」といったイメージがある。

でも、オランダのビールメーカー「Heineken(ハイネケン)」の映像には、深く考えさせられるメッセージが込められていた。

正反対の思想の人と、
ビールを飲んで話し合える?

集められたのは、フェミニストと反フェミニスト、環境活動家と温暖化懐疑者、トランスジェンダーとトランスフォビアといった、正反対の思想をもつペア3組。

彼らは相手について何も知らされないまま、共同作業をこなすように指示される。そして、タスクや会話を通して少しずつ打ち解けてきたところで、互いの思想が明かされる。

ネタばらしのVTRは、かなり残酷だ。

「女性は、自分が“子どもを産むためだけ”に必要とされているってことを分かったほうがいいよ」

「トランスジェンダーって本当に奇怪だ。理解できるもんじゃないし、正しくない」

さっきまで一緒に作業をしていたのに、今自分の隣にいる人が本音を力強く語る姿に、誰もが生々しい戸惑いを見せる。最後の指示は、

「退室するか、隣の人と一緒にビールを飲みつつ話合いをするか。選んでください」

思いを表現して
「世界を開け」

このような訴えのあるCMは、やり方によっては大きな反感を買うこともある。

先日ペプシコーラのCMが大炎上し、即取り下げる騒ぎとなったのも記憶に新しい。デモ隊と対峙する警察官にペプシを渡すと、途端にみんな笑顔になりめでたし…という内容が、黒人の人権を訴える「Black Lives Matter」活動を軽視していないか、と議論が起こったのだ。たとえばキング牧師の娘であるバーニス・キング氏は、「もしも父がペプシの力を知っていたらね」と苦言を呈している。

そんななか、Heinekenが掲げてきた「Open Your World(世界を開こう)」というコンセプトの一環として製作されたこのCMは、自分の価値観をはっきりと表明したうえでお互いを知るという、主体的な視点が評価されているそう。

もしも日本でこの取り組みがされるとしたら?自分が被験者だったら、どんな思想を示し、どんな態度をとるのか?そもそもここまではっきりと自分の思想を示せるだろうか?色々な考えが渦巻き、つい考え込んでしまう。

ところで、このCMの結末はどうなったのだろう。気になった人はぜひともその目で確かめてほしい。

Licensed material used with permission by Heineken
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。