社会に失望したゾンビたち…。街中を練り歩いた末、思わぬ展開に。
去る7月上旬、主要20カ国の首脳らが集まりハンブルクで開催された「G20サミット」。この開催直前、各国からの要人を迎える準備が整う街に、なんと大量のゾンビが出現。市民を騒然とさせました。
ゆらゆらメトロノームのように、肩を左右に揺らしながら歩く彼ら、いったいナニモノ?
突如現れたゾンビ集団が
日常をジャックする
テラス席で食事をしていたら、側を無言でゾロゾロと。
地下鉄の駅からも続々と出現。
おっと、歩き疲れた?階段に腰かけゾンビがひと休み。
集団はだんだん大きくなり、
好奇の目を向ける大勢の野次馬も集まってきました。
すると、1人のゾンビが突然、着ていた服を脱ぎ捨てる。
堰を切ったように、他のゾンビも後に続きます。
最後はまるで生命を取り戻しかのように、互いにハグし、歓びあうゾンビたち。
他人と手を取り合う事を
忘れてはいけない
そう、ゾンビ集団は「1000 GESTALTEN」というグループが事前に呼びかけていたデモ。ドイツ国内から多くの参加者が集ったそうです。
でもこれ、何のデモ?
全身を灰色の粘土で覆い、無表情のゾンビに扮した人たちは、互いを助けあう気持ちを忘れてしまった現代社会をイメージしてのもの。最後に服を脱ぎ捨てて歓ぶ姿は、そこからの「脱却」を意味しているそうです。
「権力者たちの手によって、変えてもらうのを待っていてはいけません。1人ひとりがもっと、政治的・社会的責任をきちんと認識しなければ。最後に私たちを救うのは、どれだけお金を持っているかではなく、助けを必要としている人に手を差し伸べることでしょ?」
プロジェクトメンバーのSven氏はこう語りました。
メッセージの本質を広めたいと考えた時、世界中で保護主義の拡大が懸念されている今だからこそ、こうした人々が注目するような表現にたどり着いたんだそう。
物言わぬ無言のメッセージ
「各国の首脳が集まるイベントともなると、報道で目にする写真のほとんどが、政治家や警備の様子ばかり。自分達がいつもと違うイメージをつくることで『伝えたいことがあれば、私達だって世界に向けて発信できる』というメッセージを送りたかったんです」
サミットに合わせて世界中から報道陣が集まる街で行われたこのゾンビデモ。事実、多くのメディアに取り上げられ話題が話題を呼ぶ結果に。シュプレヒコールをあげるばかりがデモではない、静かに行進する姿は逆にインパクトが高かったことでしょう。