大航海時代のイギリス。王の権力の象徴は「本」だったらしい。
もし自分が一国の王なら、何を使って権力を示すだろうか。
金やダイヤモンドを使ったジュエリー。とてつもなく大きな城。いや、マヤ文明の出土品のコレクション、なんてものもいいかもしれない。
1660年にイギリスで王政復古を果たしたチャールズ2世は、「本」によって自らの力を誇示したらしい。
この大きさこそ
「博識の証」
もちろん、ただの本ではない。
大人の人間よりも大きなこの「Klencke Atlas」は、オランダ人学者Joannes Klencke氏によって作られ、チャールズ2世に献上されたもの。見開いた時の大きさは、なんと176x231cm。
内容は、チャールズ2世が大好きだったという地図。世界各所を描いたそれは、護衛をつけるほど気に入ったようだ。ちなみに、この大きさが知識の広さ・深さを示すものだと考えられていたらしい。
現代でも違和感を感じない
地図の正確さ
中身を見ると現代のものと比べて遜色無いように見える。これが1600年代に作られたものだと考えると非常に興味深い。
ちなみに、伊能忠敬が中心となって作製した『大日本沿海輿地全図』の完成は1821年。
ヨーロッパ・アフリカは、特に正確だ。アメリカ大陸の国々やオーストラリア、日本と地理的に遠い場所も幅広く描かれている。
現在、この「Klencke Atlas」は「British Library」で共有財産として保管されている。内容は電子化されているのでWEBサイトからもチェック可能だ。下の動画を見るかぎり、かなり大変な撮影だったんだろうな。
Licensed material used with permission by The British Library