2億回再生!日本人が知らない、世界のZ世代に愛される「35年前の曲」
全世界ストリーミング再生、4900万回以上。
サンプリングや関連楽曲まで入れると、再生2億回以上。
しかも、アメリカやフランス、アフリカ、中南米、東欧、南アフリカ、パキスタン、ドミニカ、トルコなど180を超える国と地域で再生されていて、聴いているのは18〜22歳が中心。
それが、日向敏文さんの「Reflections」という曲です。
「はて……?」となる人がいるのも無理ありません。世界的には “Z世代のサウンドトラック” としてTikTokでもミームが溢れる「Reflections」ですが、日本ではほとんどその事実が知られていません。
18歳の同級生たちのワイワイぶりが人気の
南カリフォルニアのインフルエンサー(フォロワー数1.9M)も
「What a cool music」!
たぶんあなたも知ってる
日向敏文さん
ドラマのサントラやCMソングなどを数多く手がける、サウンドクリエイターの日向敏文(ひなた・としふみ)さん。
その名前に聞き覚えがなくても、『東京ラブストーリー』(91年)『愛という名のもとに』(92年)『ひとつ屋根の下』(93年)『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』(09年)など多数の人気ドラマの音楽を担当していて、ここ最近では、フジテレビ『ザ・ノンフィクション』、Eテレ「ETV特集」なども手がけていると聞けば、いかに私たちの身近な音楽を作っている方なのか分かるはず。
そんな日向さんが、約35年前の1986年にリリースした3rdアルバム『ひとつぶの海 REALITY IN LOVE』に収録されているのが、先に紹介した「Reflections」です。
日向さんご自身ですら「バイオリンとピアノだけの暗い曲なのに……(笑)。なんで今さら?」というタイミングで、世界中のZ世代に “見つかった”。
オフィシャルMVは
約半数がアメリカ、イギリス、カナダからのアクセス。
その他世界中からのコメントが集まっている。
パンデミック、軍事侵攻、人権問題。
「みんな、未来が不安なんだと思う」
TikTokでは「Reflections」のサウンドと合わせて、スーツとワイングラス片手にジェントルマンになるというミームがバズってる一方、YouTubeや日向さんのインスタには
「あなたの曲を聞くとなぜか涙が出てくる」
「優しい気持ちになった」
「物悲しさと力強さに救われる」
「やっと出会えた」
というコメントが溢れていて、気がついたら世界中の若者からたくさんのDMが届くように。
「最初は、ありがとうって返すことすら迷っていたくらいです。ただそのうちシリアスなメッセージもくるようになりました。世界に目を向けると、自分の国の不自由さに悩んでいる子もいれば、社会の不安に押しつぶされそうな若者もたくさんいます。僕はカウンセラーではないし他愛ないやりとりをしているだけなんだけど、すごく喜んでくれる。35年前に作った曲が、彼らの不安をやわらげるきっかけになっているならありがたいことです」
「Reflections」はヒップホップの楽曲にまでサンプリングされたことで(これについては権利問題で賛否あるけれど……)、さまざまなアレンジが広がり、クラシックを聴く機会がない途上国や、Wi-Fiがあるかどうかすらわからない地域にまで拡散されることに。
「正直、音楽的にちょっと変だなって思うアレンジもあったけど、あまりにも拡散されすぎて途中で諦めました(笑)。でも僕にとってはラッキーなことです。自分でも見えてなかった世界に気づくことができましたから」
「HINATAはまだ生きてるの!?」
「次のリリースはいつ?」
SNSや、楽曲を通して日向さんの存在を知った世界の若者たちには、とにかくコミュニケーションの壁がないそうです。
「昔はよく海外で『お前は日本人なのに、なんで日本っぽい曲を作らないんだ?』とか聞かれたんですが、今の若者たちは、僕が日本人だとか何歳だとかルーツがどうだとか、全然関係ないんですよね(笑)。それがすごくおもしろくて。なかには『HINATAってまだ生きてたの!?』というメッセージもあり笑ってしまいました」
そんなZ世代とのフラットなやりとりのなかで、「次のリリースはいつ?」という声が上がるのも自然な流れでした。
「僕がやりたかった音楽を素直にやれば、受け入れてくれる人たちがたくさんいるんだなって思えました。僕が彼らと同世代だった70〜80年代も人種差別や国境問題など、さまざまな不安が充満していました。30年以上経つのに世の中が成長していないという物悲しさもあるけれど、音楽を通して世界とつながることも、おおらかに生きるために少しは役に立つかもしれませんね」
ぜひ、あなた自身でこのムーブメントを体験してみてください。
ジャパニーズ・ポップスの
源流を知り、世界を知る。
このチャンネルは見逃せない。
海外の若者を中心に日本のシティポップが注目されるなか、今回ご紹介した日向敏文さんはもちろん、Yellow Magic Orchestraや吉田美奈子など、名門レーベルならではのコンテンツが詰まったYouTubeチャンネル「ALFA MUSIC YouTube Channel」。
アーカイブ映像をデジタル化した動画や、現代のアーティストによるアルファミュージック楽曲のカヴァー企画「My Favorite ALFA」も人気。
そこでは知られざる「ジャパニーズ・ポップス」の源流に出会えるはず。
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